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読書記録:2012年4月

死の扉

レオ・ブルース 「死の扉」

1955年に刊行された英国の名シリーズ、待望の復刊、だそうだ。
現代から見たら、トリックはそれほど、であっても、舞台設定や、主人公のキャロラス・ディーンの活躍ぶりが、レトロな香り満載で楽しい。


パイは小さな秘密を運ぶ

アラン・ブラッドリー 「パイは小さな秘密を運ぶ」

シリーズ3作目を読んで、なんでこれがそれほど人気なの?と思ったけれど、1作目である今作を読んで、ようやく納得。といっても、大納得ではないけれど。
勝気なフレーヴィアがなかなかいじらしく、思わず、もっと素直になりなよ!などと掛け声をかけたくなってしまう。


とんでもないパティシエ

J・B・スタンリー 「とんでもないパティシエ」

ダイエット・クラブ・シリーズも5作目。ほのぼのしたコージーが好きで、なんとなく読み継いでしまうシリーズの一つ。
だけど、さすがにちょっとネタが苦しくなってきたかな。舞台が一つのコージーでは、なかなか事件を起こすのも難しいよね。
ハンナ・シリーズと同じ流れにならなければ良いけれど。


紳士と月夜の晒し台

ジョージェット・ヘイヤー 「紳士と月夜の晒し台」

1935年刊行という、これまた英国の名作ミステリーの初翻訳。
作者はロマンス小説の大家であるそうだが、今作はロマンスはほのかに抑え、ゴシック風味を加味した本格ミステリとなっていて、大いに楽しめた。
2作目以降の翻訳が待ち遠しい。


闇の記憶

ウィリアム・K・クルーガー 「闇の記憶」

シリーズ物だそうだけど、第5作目の今作から読んだ。(またかよ)
寡黙で不器用で、色々背負いながら使命を果たすという主人公が、いかにもアメリカン・ヒーローで、ピケット管理官シリーズを思い出す。
しかしこのラストは、いやあ、どうしよう。絶対次も読まなきゃいけないじゃないか。


裏返しの男

フレッド・ヴァルガス 「裏返しの男」

大好きなヴァルガスの、大好きなアダムスベルグ警視シリーズ、なんと6年ぶりの翻訳。
どこが好きかって、謎解きや登場人物の魅力は勿論なのだけど、文や描写がすごくフランス的(当人の思い込み有り)で、そこがとてもお気に入り。
本作も、狼男?怪奇?とちらっと思わせて、何重もの綾を織って、その過程が魅力的でならない。


三つの秘文字

S・J・ボルトン 「三つの秘文字」(上・下)

と、フレンチなヴァルガスが好きなくせして、実は一番はやっぱり英国ミステリー。
シェトランドの閉鎖的な地方を舞台に、よそ者としてやってきた女医の苦悩と活躍。
色々とツッコミどころはあっても、筋立ての面白さとサスペンスで、ぐいぐい読み進んでしまう。
歴史的な部分で未だわからないところもあるが、相当に面白かった一冊。


卵をめぐる祖父の戦争

デイヴィッド・ベニオフ 「卵をめぐる祖父の戦争」

ポケミスでの発刊時から大評判だった今作、文庫本になって即買い。
これはミステリーではなく歴史物であり、第二次大戦時の旧ソ連とナチとの戦いが舞台。
人一人ごとのドラマが、どれほどちっぽけなものか思い知らされ、切なくて辛くて涙が出る。
が、ラストに少し救われる。


緋色の十字章

マーティン・ウォーカー 「緋色の十字章」

フランスのサンドニの小さな村で、警察署長を務めるブルーノ。
村人を守る、ということに忠実な彼の仕事ぶりが、まずとても好ましく、そしてミステリーの展開に唸る。
ラストには、これで良いのか、と一旦自分に問いかけて、やはりこれで良かった、と素直に感じてしまうのだ。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

マンガの新作は、友人から借りた以下の2作。
両方とも面白かったー。

関川夏央・谷口ジロー 「坊ちゃんの時代」全5巻
西炯子 「娚の一生」全3巻

自分で買ったのは、

「百姓貴族」2巻
「銀の匙」3巻

  # by wordworm | 2012-05-09 11:57 | Comments(0)

読書記録:2012年3月

でぶじゃないの

メグ・キャボット 「でぶじゃないの、骨太なだけ」

シリーズ3作目。主人公の元アイドル歌手のヘザーちゃんが、変わらずケナゲでいじらしい。
ベベ・ベネット・シリーズと重ねてしまうところもあるんだけど、色々ダメダメなヘザーは、更に身近。
ようやく実った恋が、上手くいきますように。


シャンハイ・ムーン

S・J・ローザン 「シャンハイ・ムーン」

大好きなこのシリーズも、すでに9作目になるのだけど、マンネリどころか、作を追うごとにレベルを上げているのが、すごいったら。
今回はリディア視点で、雨降って地固まるようなビルのサポートが、一層頼もしい。
各人の辛い過去が絡まって、胸が痛くなくほどの切なさを覚えるのは、このシリーズならでは。


探偵稼業

レジナルド・ヒル 「探偵稼業は運次第」

名前は聞いたことはあっても、読むのは初めてなシリーズ。
軽妙なシャレの連発は、私のタイプのはずなのに、なぜかノるのに時間がかかってしまい。
後半になって、ようやくぐんぐんとページをめくる手が進み、別な本も読んでみたくなって、一安心。(なぜだ)


五番目のコード

D・M・ディヴァイン 「五番目のコード」

すごい・すごいと唸るディヴァインの作品だけど、最初から中盤にかけては素晴らしいものの、最後の方にやや肩透かし感を覚えたのは、やはり初期の頃の作品であるせいか。
でも彼の本は、中身を見ずとも、これからも買ってしまうだろうなあ。


夜明けのパトロール

ドン・ウィンズロウ 「夜明けのパトロール」

ここ数作のドン・ウィンズロウは、本当にすごい。
ニール・シリーズの頃はそこまでとも思わなかったのに、「犬の力」あたりから、単発で畳み掛けるような文章と描写で、ページをめくる手が止まらない。
訳文の良さもあるのだろうけど、彼自身の文体も変わったのかな。(原書を読めよ)


殺し屋

ローレンス・ブロック 「殺し屋」

殺し屋ケラーの連作短編集。
ちょー凄腕というわけではないけれど、着実に仕事をこなすケラーの、等身大のスリル感が快い。
その中で、犬や彼女との顛末や、老いたボスへの思いなど、しんみりさせてくれるエピソードも、適度に散りばめられている。


リザ・スコットライン 「見られている女」

古いお気に入り本を、久々に読み返す。
弁護士や裁判官など、女性の法従事者を主人公にした彼女の作品は、どれを読んでも面白い。
この本は彼女のデビュー作にあたり、やや詰め込み過ぎ気味でもあるのだが、ハラハラ・ドキドキのサスペンスと、メアリーの悲哀や焦り、愛情が、素直に迫ってくる良作。


ゴールデン・パラシュート

デイヴィッド・ハンドラー 「ゴールデン・パラシュート」

軽妙洒脱といえば、ハンドラーのホーギー・シリーズが真っ先に浮かぶのだけど、別シリーズのこちらは、ホーギーとは色をかなり違えるものの、1作目から一気にお気に入り。
シリーズ3作目の今回も、裏切られない面白さ。
なんだが、あの終わり方はないだろう! 明日にも4作目を出してください!(必死)


小澤征爾さんと

村上春樹 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」

クラシックを知らない人にも楽しめる、という評判ではあるが、ある程度知っている人の方が、更に楽しめると思われる対談集。
世界の巨匠の小澤氏の、温かい素顔を見事に引き出した、村上さんの手腕と知識も素晴らしい。
スコアを譜面台に立てながら、オケの練習にのぞんでいた学生時代の仲間と自分を思い返しては、ひたすらに懐かしく、また戻りたく。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

マンガの新作は、友人から借りた以下の3作。

「あずまんが大王」全3巻

「看護助手のナナちゃん」1・2

「MOON-昴 ソリチュードスタンディング」1~7巻

自分で買った新刊は、

「ちはやふる」15巻
「3月のライオン」7巻
「銀の匙」2巻

  # by wordworm | 2012-04-04 12:56 | Comments(0)

読書記録:2012年2月

ミレニアム3

スティーグ・ラーソン 「ミレニアム3:眠れる女と狂卓の騎士」(上・下)

三部作のラスト。1・2巻から引き続き、ジェットコースターのような展開と、人間模様の綾も鮮やかで、最後の最後まで、息つく暇もなく読み通した。
本当は十部作の予定であったとのこと、作者の急逝がつくづく惜しまれる。


金星特急5

嬉野君 「金星特急」5

ライトノベルと侮るべからず。実はアマチュア時代から嬉野さんのファンで、デビューされた時は歓声を上げたものだった。
未来ファンタジーなのだけど、各国をバックパッカーとして巡ったという作者の知識と経験が設定に生かされて、臨場感溢れる世界を作り上げている。
続きがー、続きがーーーー。


深煎りロースト

クレオ・コイル 「深煎りローストはやけどのもと」

コーヒーショップを舞台にしたこのコージーも、とうとう9巻目。
すごく面白いというわけではないのだけど、ほのぼの・軽めに進行する中に、その軽さに良く合うレベルの謎解きが用意されている。あ、けなしてるわけではありません。
コーヒードリンクについての雑学が得られるのが好き。お菓子や料理のレシピも付いているのだが、大変アメリカーンなので作らない……


夏の夜の悪い夢

ジェイニー・ボライソー 「夏の夜のわるい夢」

こちらも同様、コージーの6巻目。
が、なかなか本格派であるのと、舞台であるイギリスのコーンウォール地方の情景描写が好きで、お気に入りのシリーズ。
主人公の、じりじりした恋の行方も楽しみで。


今をたよりに

ジル・チャーチル 「今をたよりに」

ジル・チャーチルは大好きで、このシリーズも最初は面白かったのだけど、今作にはちょっとがっかりかも。
ミステリーがミステリーになっていないというか、どたばた騒ぎで終わってしまっている。


感謝祭の勇敢な七面鳥

レスリー・メイヤー 「感謝祭の勇敢な七面鳥」

主婦探偵シリーズで、巻を重ねるごとに年月も経っているので、子供達が大きくなっていく様子も読むことができるのが、秘かな楽しみ。
大学に進学した長男の話に興味津々で、せっかくの謎解きをきちんと楽しみませんでした、ごめんなさい。


コージー作家の秘密の原稿

G.M.マリエット 「コージー作家の秘密の原稿」

コージー好きな私に、このタイトルを出されたら、そらあ買うでしょう。だけど中身は、コージーよりはぐっとシリアスかも。
これもシリーズだそうなので、次作が楽しみ。


ピザマンの事件簿2

L.T.フォークス 「ピザマンの事件簿2:犯人捜しはつらいよ」

作者が居住地以外は謎、というシリーズだけど、まあそれはどうでもいい。(おい)
レッドネックのおじさん達が頑張るのだけど、テンポの良い展開が小気味良い。なんというか、アメリカの青春物語のおじさん版みたいな。


暗い鏡の中に

ヘレン・マクロイ 「暗い鏡の中に」

書かれたのが1950年なので、古さはあるのだけど、幻想と殺人と心理を巧みに組み合わせたストーリーが見事。
ミステリーとしては単純なのだが、筆の細かさがそれを補ってる。


山田風太郎 「八犬傳」(上・下)

友人に借りた本。
NHKの「南総里見八犬伝」が大好きだったということで、彼女と興味が一致した私に、お薦めとして貸してくれたもの。読みながら、当時の主題歌がぐるぐる頭の中を巡る、巡る。
と言いつつ、八犬伝の現代語訳なわけではなく、作者の馬琴の生涯と画家の北斎との交流をもう一つの軸とした小説になっていて、一冊で二度美味しい本。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

友人から借りたマンガも。

岡野玲子 「陰陽師」(全13巻)

  〃    「コーリング」(全3巻)

うーん、岡野玲子さんは色々と好きではあるのだが、やっぱりわかりにくいし、物足りない。
絵や傾向は好みでありながら、作品としてはそれほど面白味が、というか。(悩)
ちなみに「コーリング」の原作は、昔から大好きなファンタジー

  # by wordworm | 2012-03-03 08:07 | Comments(0)

読書記録:2012年1月

木星の骨

フェイ・ケラーマン 「木星(ジュピター)の骨」(上・下)
         「蛇の歯」(上・下)
         「死者に祈りを」(上・下)
         「正義の裁き」(上・下)


最新刊「木星の骨」を読んで、その前のも読み返して、という流れ。
いつもながら中身がぎゅっと詰まったミステリーで、謎解き以上に、デッカー家の家族模様や、サイコには至らない上質なサスペンスが、大好きなシリーズ。


オバサンとサムライ

養老孟司・テリー伊藤 「オバサンとサムライ」

テリー氏の謙虚な姿勢が、養老先生の話の流れを崩すことなく引き出してくれている。
非常にわかりやすく、さらっと読み通せる対談本。


三本の緑の小瓶

D. M. ディヴァイン 「三本の緑の小瓶」

初期の作品だけあって、最近のディヴァインほどの冴えはまだ見られないものの、ドラマ性と着眼点はさすが。


日本語教室

井上ひさし 「日本語教室」

講義録なので、読んでいる間中、脳内で、井上氏のあの優しい口調で文章を再生していた。
何を読んでも、賛否は別として、巨人だなあ、と思ってしまう。


ウィンター・ビート

サラ・パレツキー 「ウィンター・ビート」

ヴィクの不器用さと周囲の反感が、すでにデフォルト。
痛いなあ、なんとかならんかなあ、でも自業自得な面もあるよね、なんてオバサン的なツッコミもいつも通りに読了。


水晶玉は嘘をつく?

アラン・ブラッドリー 「水晶玉は嘘をつく?」

シリーズ三作目なんだけど、初めて読んでみた。
読みにくくて、ストーリーにもノレなくて、何度も手が止まったのは、原作のせいか、それとも訳のせい?


夜を希う

マイクル・コリータ 「夜を希う」

ハードボイルドで、サスペンス。これはかなり面白かった。
最後の方の追跡劇の迫力は、相当なもの。


ミレニアム2

スティーグ・ラーソン 「ミレニアム2:火と戯れる女」(上・下)

大評判のミステリーで、例に漏れず私も大はまり。
生まれも育ちも全く違うのに、リスベットに思いっきり感情移入。

*-*-*-*-*-*-*-*-*

今月の読書が少なめなのは、図書館や友達から借りたマンガが色々あったから。(幸)
こちらも、タイトル記録。

矢沢あい 「NANA-ナナ-」1~21巻

ヤマザキマリ 「テルマエ・ロマエ」1~4巻

羽海野チカ 「ハチミツとクローバー」全10巻

池田理代子 「栄光のナポレオン」全12巻

中村光 「聖☆おにいさん」1~4巻

  # by wordworm | 2012-02-02 12:50 | Comments(2)

「シブミ」(上・下)

     sibumi

トレヴェニアン著、菊池光訳
「シブミ」(上):早川書房 (2011/3/10)、ISBN-10: 4150412340
「シブミ」(下):早川書房 (2011/03)、ISBN-10: 4150412359



せめて今年のうちに、1つでも。
の、悪あがきの感想、と言ったら、この作品に大変失礼極まりない。

ジャンルとしては、海外ミステリーと冒険小説、歴史フィクションが合わさったような。
とある事件をきっかけとして、引退したプロの殺し屋のニコライ・ヘルと、CIAを牛耳る巨大組織のマザー・カンパニイ(母会社)との戦いとなるのだが。
ニコライ・ヘルの特異な育ちと人生が、合間合間に挟まれて、最初は離れ離れの数本の糸が、徐々に集まり、より合わさって、なんとも骨太な物語を成していく。
その特異な育ちとは、上海に生まれたロシア系のヘルが、母の死後、日本で囲碁を学びながら成長したことだ。

タイトルの「シブミ」だが、原題もそのまま「SHIBUMI」である。
陸軍将校を育ての父とし、第二次大戦時は、東京大空襲も経験したヘル。
その父から教えられ、彼が人生の最終目標として掲げたのが、「シブミのある人間、動かし難い平静さをそなえた人間になること」であったのだ。

日本人としては、「渋み? 渋いとか、渋さのある、ではなくて?」などと、余計なことを思ってしまうのだけど。
常に冷静で、感情をあらわにすることのない存在を目指した彼が、正にそうあることが望ましい職業=殺し屋になることが、皮肉というべきか。決して、父が望んだ未来ではなかったであろうに。
だが、彼の資質を考えても、父への最後の親孝行を目撃しても、なるべくしてなったものであったのか。

外見こそ白人でありながら、日本人の価値観を持つヘル。
美意識としてのシブミを備える彼を見ていると、日本人が欧米社会で生きていくこと、そのものについても、深く考えざるをえない。
国際化だの、グローバルな視点だのが叫ばれるようになって、何十年も経つけれど。
その中で、日本人として譲れない一線を、一体どこに引くべきか。日本人読者だからこその読み方もできる本と言えるだろう。

国際的陰謀と、ヘルの人生談いう大筋がある傍ら、洞窟探検(ケイビング)やら、バスク人との交流やら、美しいヒロインとの愛情などなど、サイドと言うには勿体無い傍流が幾つもある。
加えて、欧米各国の様々な描写やジョークが、シリアスな場面にも端的に挟まれていて、大いに笑わせてもらった。

ラストシーンのヘルこそ、シブミを体現した存在と言われるにふさわしい、と思うのだ。

  # by wordworm | 2011-12-02 15:09 | Comments(0)

「旭山動物園物語」


古館謙二著、篠塚則明写真
「旭山動物園物語」
樹立社 (2005/03)
ISBN-10: 4901769405


同様に、メイン日記からの引用。

辿り着くべき場所は一つだけ

  # by wordworm | 2010-05-25 01:12 | Comments(0)

「ルアン先生にはさからうな」「ルアン先生はへこたれない」


ルアン・ジョンソン著、酒井洋子訳
「ルアン先生にはさからうな」
早川書房 (1995/05)
ISBN-10: 4150501912
「ルアン先生はへこたれない」
早川書房 (1996/01)
ISBN-10: 4150501998

同様に、メイン日記からの引用。

選択するは我にあり

  # by wordworm | 2010-02-20 13:57 | Comments(0)

「米原万里を語る」


井上ユリ・小森 陽一編
「米原万里を語る」
かもがわ出版 (2009/05)
ISBN-10: 478030279X

あまりに更新してないので、ちょっとズルを。
メイン日記の方でのせた感想を、こちらに引用。


重力さえも味方につけて

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  # by wordworm | 2010-02-15 13:51 | Comments(0)

「慈悲のこころ」(上・下)


フェイ・ケラーマン著、小梨直訳
「慈悲のこころ」(上)
東京創元社 (1998/06)
ISBN-10: 4488282067
「慈悲のこころ」(下)
東京創元社 (1998/06)
ISBN-10: 4488282075

読書感想・私的復活編。
「水の戒律」から始まる、リナ&デッカー・シリーズで人気の、フェイ・ケラーマンの手による、ノン・シリーズ。
なんと主人公は、ウィリアム・シェークスピア、ときてるのだ。

彼が主人公ということは、舞台も当然、エリザベス一世のあの時代。
海賊ドレークとスペインと、ロンドン塔に黒死病。私の大好きな時代の一つであるだけに、背景まで余すところなく楽しめた。

友人を殺されたシェークスピアが、未亡人から犯人探しを頼まれ、探偵役を引き受けるのだが。それだけのミステリーにはとどまらず、ふとしたきっかけで知り合った、隠れユダヤ教徒の娘との恋愛を絡め、キリスト教支配の欧米の状況にまで、大きく広がる冒険談となっている。

著者のケラーマン自身がユダヤ人であることで、デッカー・シリーズもこの作品も、ユダヤ人を抜きにしては語れない内容。それも、宗教として押し付ける形ではなく、物語を通じて、彼らの「常識」と「事情」を知らしめてくれるので、むしろ、その奥をさらに知りたくさせてくれる。
シェークスピアがユダヤ教徒について言及したといえば、あの作品になるわけだが、それをこういう形で結びつけようとは、と感嘆させられるラスト。

大仰きわまりない彼らのセリフも、不思議とこの物語内ではしっくりくる。
国を問わず、歴史や古典から学ぶべき事柄は、これだけの年数を経ても、まだ無数にあるようだ。

  # by wordworm | 2009-08-19 13:58 | Comments(0)

「ミス・メルヴィルの後悔」、他

イーヴリン・E・スミス著、長野きよみ訳
「ミス・メルヴィルの後悔」
早川書房 (2005/01) 、ISBN-10: 4151751513
「帰ってきたミス・メルヴィル」
早川書房 (2005/4/8) 、ISBN-10: 4151751521
「ミス・メルヴィルの復讐」
早川書房 (2005/8/25) 、ISBN-10: 415175153X
「ミス・メルヴィルの決闘」
早川書房 (2005/11) 、ISBN-10: 4151751548


読む本が尽きて、手元にある本を読み返す日々だった。少なくともミステリーは全冊読み終えたので、さっくり800冊ぐらいは読んだのか?
渡米する時にも手放さずに置いておいた本達だけあって、色あせることなく面白いものが揃ってる。
ということで、読書感想・私的復活編。

そのうちの一つ、ミス・メルヴィル・シリーズ。
中年のオールドミスのおばさまが、なんと殺し屋になってしまうという設定。しかし回を追うごとに、今度は探偵役も兼ねていく。

というより、ミス・メルヴィルの本業は画家。
NYの上流社会の生まれで、画家としてのデビューも華々しかったのに、それ以降売れなくて、教師の職も失って。とうとう家をも失って自殺か、というぎりぎりの時に、見事に人生の新しい局面を切り開くのだ。
ただ、その局面というのが、殺し屋であったりするのだけど。

しかし、それからがめざましいばかり。有名画家になって、再びお金持ちになって、家族らしき絆まで。収入を得る為の殺しの仕事こそ必要なくなったものの、それでもまだ周囲に不穏なあれこれが絶えないばかりに、否応なしに拳銃を握ることが続く。

というより、一度その世界に足を踏み入れたが為に、すでにその前の彼女には戻れなくなっていて。有閑階級や著名人の言葉や動作の端々に、彼女だからこそ感じとれる様々なサイン、兆候、手がかりが、それ以上を求める道へとミス・メルヴィルを導いていく。

これが探偵業や警察ならば、そこで犯人をつきとめて逮捕、となるところなのだが。
彼女の場合は、自らの手による「粛清」となるのだから、クライマックスの盛り上がりは大したものなのだ。
また、そんなハードボイルド的仕事が、穏やかで上品、常に理性を失わないおばさまの手によって成されるものだから、そのギャップと興奮は更にハイレベル。

日本語版の翻訳は、長編4冊・短編1本が出版されている。
が、シリーズ通して、1回もミス・メルヴィルの年齢に言及されていないので、正確なところがわからない。思うに、40代後半~あたりかと。
奇天烈な登場人物、ウィットに富んだ会話、危険なシーン。笑って、手に汗握って、とは、ミステリーの醍醐味なのだけど。
同じ中年女性のハシクレとして勇気付けられるミステリーは、このシリーズでこそ、というものだ。

  # by wordworm | 2009-08-03 04:03 | Comments(2)

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