タグ:フィクション ( 9 ) タグの人気記事

 

読書記録:2014年5月

ポール・マイヤーズ 「死のアリア」

エスピオナージ!という感じのスパイ小説。この手の作品を読むのは久しぶりで楽しかった。
冷戦終了後、スパイの仕事は別になくなったわけではないだろうけど、エンタメ分野では結構限定されてしまった感はあり。ジェームズ・ボンドも老いたし。
なので、その類に触れたければ、昔の作品を読み直すことが多いのだけど、娯楽としては本当に楽しい分野なんだよね。


魔法使いにキスを

シャンナ・スウェンドソン 「魔法使いにキスを」

大好きなシリーズ、とうとう第七弾。これはマジカル・ファンタジー・ロマンチック・コメディーと名づけられるみたいだけど、私からすればとにかく「チャーミング」の一言に尽きる。
可愛くて健気で、大人のユーモアたっぷりで。安心してハラハラ・ドキドキできて、ページを繰る手が止まらない上、何回読み直しても飽きないの。
ラストシーンからして、セカンドシーズンはこれで終わりということなのか、それともシリーズそのものがこれで終了か、気になるところ。


アン・マキャフリイ 「竜の反逆者」

パーンの竜騎士シリーズ、第7弾。
最初の方にセラが出てきたので、まさかこんな極悪女が主役!?と驚いたが、そうではなかったので一安心。
外伝を含めた今までのストーリーを別の視点から見たという内容も多く、まいったな、またイチから読み直しか、と思って、しかも読んでしまう自分って。こんなに昔から好きで読んでいるのに、まだ読み直さなきゃいけない自分って。
神様、一回読んだら二度と忘れない記憶力をください。あ、三回ぐらいでもいいです。


ゴッサムの神々 ゴッサムの神々2

リンジー・フェイ 「ゴッサムの神々」(上下)

19世紀以前の英国ミステリーが大好きなのだが、これは米国NY。NY市警が始めてできた時のお話で、実は今までなかったらしい。ロンドン警察の話はいっぱいあるのにね。
上巻は楽しみつつもゆっくりペースだったのだけど、下巻に入ってからぐんぐんとスピードアップ。これですむはずないとは思っていたけど、期待通りに面白かった。
事件の真相自体はそれほど、と言っても、それは現代ミステリーが猟奇性その他に富むようになってしまったからであって。それをクラシックという形ではなく、ちゃんと読ませてくれたのが嬉しい。
切ないエピソードも数々あったけど、読後感はかなり爽やかで、次作がすでに楽しみだ。


アーサー王の墓所の夢

アリアナ・フランクリン 「アーサー王の墓所の夢」

お気に入りの女医アデリア・シリーズ、第3弾。中世イングランド、修道院、十字軍と、私の好きなものばかり詰まってるシリーズ。
今回も面白かったけど、謎解きの面白さというより、ちょっと昼メロ風味。まあ、良くも悪くも本能が大きな割合を占めていた時代であったわけだから。
ラストが非常に不穏で「以下次号」的だったので、次作をどきどきしながら待つこととする。つか、次が最後って悲しすぎる……


黄金のランデヴー

アリステア・マクリーン 「黄金のランデヴー」

父の長年の愛読書と聞いて購入。海外のスパイ物やミステリーと、好きな分野が一緒なわりに、微妙に好みがずれている我々だけど、良いと思うものはかなり一致してるんだな。
マクリーンといえば映画化も多数の人気作家だけど、意外と読んだ数は少なくて。だけどこの本で集めちゃおうかと思ってしまうぐらいに、わくわくと面白かった。
日本での発行が70年代ぐらいだから、原作が書かれたのは一体何年前? それでも褪せることなく魅了されてしまうのは、さすがの力量。
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  by wordworm | 2014-06-19 10:22

読書記録:2013年9月

九十歳の誕生パーティ

レスリー・メイヤー 「九十歳の誕生パーティ」

主婦探偵ルーシーのシリーズ、第9弾。
もう読まなくていいかな、と思いつつ、読んでみると、コージーとしてはそれなりにしっかりした筋立てになっているので、ついついまた次も買ってしまうんだな。
私の好きな脇役キャラのミス・ティリーが大変なことになる今作。今までで一番犯人がわかりやすかったというか、これミステリー?というぐらいに単純で腰砕け。
むしろ、ミス・ティリーがどうなるか、というドラマ的な方が重点だったのか?
それでも、それなりに楽しく読ませるのはさすが。


貧乏お嬢さま、メイドになる

リース・ボウエン 「貧乏お嬢さま、メイドになる」

大好きな、ちょっと昔のロンドンを舞台にしたミステリー。
英国王族でありながら貧乏なジョージーの奮闘記でもあるが、彼女の世慣れなさと、逆に妙に世間を知っているところが面白い。
大変なのに、決してめげない。投げ出さないノブレス・オブリージュ。こういうのを読むたび、好きだなあ英国、としみじみしちゃったり。
タイトルの「メイド」シーンがあまりなかったが、新しいコージーとして、ぜひ次作以降も翻訳してほしい。


お菓子の家

カーリン・イェルハルドセン 「お菓子の家」

またまたスウェーデンミステリー。ショーベリ警視シリーズの初翻訳。
緻密に仕立てられた筋立て、入り組む登場人物で、読み応え十分。最後でやられ、最後の最後でまたやられる、という仕掛け。
子供の凄惨ないじめが多数出てきて、そういう部分は相当辛かった上、ラストもハッピーとは程遠い。
のだけど、良いミステリーに会った、という充実感は大したもの。


偽りの街

フィリップ・カー 「偽りの街」

最近なぜか「ハードボイルドを読みたい」気分に駆られて、古い本を読み返したり、ちらほらと買ってみたり。
その中の1冊のこちらは、ナチ党独裁時のベルリンが舞台で、ユダヤ人への迫害ぶりや戦時中の重苦しい空気に眉をしかめっぱなしなのだけど、さすがにファンが多い作品だけあって、期待したハードボイルドのラインを楽々越えてくれた。
……んだけど私に限っては、最後の方のレ○プシーンで全て台無し。これがあっただけで、大抵の作品は再読できなくなるどころか、本を見るのも辛くなってしまうんだな……(ということで、お蔵入り)


アイスクリン強し

畠中恵 「アイスクリン強し」

畠中さんの本もご無沙汰してるよなあ、と思って、ついつい買ってしまった「若様組」シリーズ。
明治になったばかりの江戸ならぬ東京で、処遇に困って警官になった華族の若様達&洋菓子店を開いた真次郎達の活躍ぶり。
ほのぼのシリーズで、重い人間ドラマなどは一切ないのだけど、文明開化の混乱振りや、育ちの良い若者達の逞しさが楽しい。
何より、ビスキットやアイスクリン、チヨコレイトなどの西洋菓子が美味しそうったら。スイーツブームの原点ここに在り、でヨダレモノ。


メモリー・コレクター

メグ・ガーディナー 「メモリー・コレクター」

心理検死官ジョー・ベケットのシリーズ、第2弾。今度は記憶障害を起こす恐ろしい菌の感染騒ぎに挑む。
すごくアメリカらしいサスペンス、アメリカらしい主人公&キャラクター達。アクションあり、銃あり、カーチェイスありで、娯楽に徹しているのを素直に受け入れて、素直にきゃー・わー、と楽しめる。
ただ、菌の感染現場が飛行機内で、しかも感染したアテンダントが狂って、ドアを開けて機外に飛び出してしまうシーンがあるのだけど、これを読んだのが日本行きの飛行機内だった我が身の不幸ぶりが……


チェーザレ ルネサンスの女たち わが友マキアヴェッリ

総領冬実 「チェーザレ」 1~10巻
塩野七生 「ルネサンスの女たち」 
       「わが友マキアヴェッリ」


番外編的になるけれど、友人から借りた「チェーザレ」が面白いのなんのって。ルネサンスあたりが大好物な私のハート、ど真ん中ストライク。(死語)
ついつい塩野さんの本も読み返しちゃったよ、という記録。
それにしても10巻出るのに10年かかってて、しかもまだチェーザレは学生のままですよ……取材にそれだけ時間をかけているということだそうで、またそれだけの出来になっているのは素晴らしいのだが。
これは一体いつ終わりになるのだろう。どうか「ガラスの仮面」化だけは避けてほしい。(切実)
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  by wordworm | 2013-10-19 10:02

「オリガ・モリソヴナの反語法」

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米原万里著
「オリガ・モリソヴナの反語法」
集英社 (2005/10/20)
ISBN-10: 4087478750

エッセイストとして人気だった米原さんが、唯一書いた小説がこの作品。

1960年、日本からチェコのプラハ・ソビエト学校に入学した少女、志摩。そこで出会った舞踊教師のオリガ・モリソヴナは、思春期の彼女に鮮烈な印象を刻み付け、30年たった現在でも忘れられない存在だ。その後翻訳者となった志摩は、思い立ってモスクワに赴き、旧友と力を合わせてオリガの半生を辿ることになる。

米原さんの自伝と、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を合わせたような内容。
以前に体験した鳥肌立つ思いを、この本は更に味あわせてくれた。涙を何度も流し、背筋が幾度も寒くなり。これが初めての小説とはとても信じられず、改めて米原さんの筆の力を思い知る。

スターリン時代が暗黒の時代とは聞いてはいたけれど、実際はとても遠い国で、概要さえも知らずに過ごしてきた。そんな自分を責めて自己嫌悪に陥るほどに、この本の描写は強烈だ。
残酷というものではなく、リアルという言葉もどこか違う。ひたすらに冷静で堅固で、その分、これが確かな史実だと信じるに至らせる。

「嘘つきアーニャ…」でも感じたけれど、米原さんの語り口は、悪い意味でなく、どこか距離があり、そして感情に溺れることがない。
これはもしかして、同時通訳でいらっしゃったことからくるものかもしれない。自らを浮き上がらせることなく、相手の語りたいことを伝えようと試みる。そんな姿勢が筆にも表れているのかもしれない、とふと感じる。

二転三転とする筋立て。最後の1ページまで波乱が続く。
そんな、一瞬も気が抜けない思いは、この時代の東欧の人々が全員抱いていたものに通じるのか、と口惜しい気持ちで思う。そして今でも世界のあちこちの国々で、そんな思いを抱き続けている人々がいることを、瞼を閉じて考える。
オリガという魅力に満ち満ちた女性を通して、米原さんが一番語りたかったことは何だろう。形を持たず、凝縮された濃度で、読者の心にダイレクトに落ちていく。たまらない量感だ。

これだけのものを、最初の小説で一気に詰め込んでしまった米原さん。
小出しにしようとか、長い目で書いていこうとか。そう考えられなかった結果であるこの本が、二度と読めない彼女の小説であることが、愛しくてまた切なくて、またもや涙がにじむ。
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  by wordworm | 2007-05-11 11:21

またまた閑話休題

まだいきます、まだまだあります。

* * * * *

e0111545_7313683.jpg田中芳樹×土屋守
「イギリス病のすすめ」
講談社 (2001/10)
ISBN-10: 4062731193

イギリス暮らしの長い土屋氏と、学生時代からの友人であり、やはりイギリスファンである田中氏が、英国暮らしの魅力を語る。食べ物や暮らしぶりについての本は多々あるけれど、文学まで踏み込んで語り合うのは、このお二人ならでは。


e0111545_7355827.jpg田中芳樹著
「摩天楼」、講談社 (1996/10) 、ISBN-10: 4062633469
「東京ナイトメア」、講談社 (2002/04) 、ISBN-10: 4062734060

スーパーウーマン薬師寺涼子警視の活躍(?)ぶり。それに振り回される部下の泉田クン。田中氏がストレス解消の為に書く、と言い切るだけあって、ストーリーから登場人物まで、ハチャメチャ荒唐無稽で、読んでるこちらもすかっとする。


e0111545_7463295.jpg植木等著
「夢を食いつづけた男」
朝日新聞社 (1987/02)
ISBN-10: 402260431X

理想の男性・植木さん。訃報に涙する私に、友人の旦那様は、そっとこの本を差し出して下さったのです(脳内脚色)
植木さん以上に大物であられたかもしれぬ父上の生涯について、詳しい調査の上、至極真面目に書かれた伝記。明治から昭和にかけての日本という国の一側面まで映し出す。


e0111545_742531.jpgジョアンナ・カール著
「チョコ猫で町は大騒ぎ」
ソニーマガジンズ (2005/05)
ISBN-10: 478972557X

食べ物屋ミステリー(そんな言葉はない)が増える中、今度はチョコレートショップを舞台にした、楽しくにぎやかなコージー・ミステリー。チョコがこれでもか、これでもかと種類も多彩に登場するので、ダイエット中に読むのは大変危険な本。


e0111545_7442213.jpg中島京子著
「FUTON」
講談社 (2003/06)
ISBN-10: 4062118939

借本。田山花袋の「蒲団」を題材にした、ちょっと切なく淡々とした、日本とアメリカをまたいだ数人の情景。私小説というジャンルについて改めて考えながら、ゆっくり時間を追っていく。

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  by wordworm | 2007-04-23 07:30

「小鼠 ニューヨークを侵略」

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レナード・ウイバーリー著、清水政二訳
「小鼠 ニューヨークを侵略」
東京創元社 (1976/12)
ISBN-13: 978-4488526016


LAの古本屋で見つけて、決して安くはなかったが、飛びついて買ってしまった。
ずっと前、実家の本棚に、このシリーズが並んでいたのだけど、私が読む年齢に達する前に消えていて。
今見てみたら絶版ばかりで、しかもえらい高値がついているではないか。返す返すも口惜しい。この本が復刊されたことは、手放しで喜びたい。

北アルプス山中にある、グランド・フェンウィック大公国。国の広さは長さ5マイル・幅3マイル、唯一特産のワインのみで外貨を得る、自由を旗印にした平和な超小国だ。
ところがその特産ワインの偽物がアメリカで発売され、ちょうど売り上げ不足に悩んでいた大公女達が考え出した奇策。それは、超大国アメリカへの宣戦布告であった。

とても上質で温かい、大人の為の童話である。設定は荒唐無稽なのだけど、笑ったり悩んだり励ましたりと、感情豊かなフェンウィックの人々に魅せられて、気がつけばすっかりはまりこんで、いけいけ~っ!と応援している自分がいる。

初版は1976年。ちょうど米ソ冷戦時代真っ最中で、時代背景もそのまま。それ自体には別に不自然さだの古さだのは感じることなく、ただフェンウィックという国と欧米諸国を比較して、痛烈な批判と皮肉をこめている。
国と国民を一番とし、自由であることに誇りを持つフェンウィック。謀略も汚職も政治的ゴタゴタもなく、フェンウィックらしさを追求するその姿勢に、何回も拍手を送りたくなるのはどうしてか。
比べて、あまりに思いがけない展開で究極兵器を奪われたアメリカや、何とか横取りしようとするソ連やイギリスなどが打ち出す手段や姿勢に、どうしようもなく軽蔑の念を覚えるのは何故か。
大国と呼ばれる規模になり、得たものに対して失ったものの大きさを、ウイバーリーはこの小説で、たっぷりのユーモアを混ぜて示してみせる。

戯画化された国々の面白さだけでなく、全編を通して溢れるものは、どんな国でも変わることのない、人々の情。
富や名誉でなく、大事なものを知っている父バスコム。そしられても勇気を捨てることない息子バスコム。世間と隔絶されていたコーキンツ博士の心さえも溶かすものは、昔から誰もが知っているはずなのに、言い訳を重ねて目をそらしているものに他ならない。

続編3冊が読めないのが残念でならない。続いての復刊を切に望む。
こうなったら復刊ドットコムに日参するしか(燃)
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  by wordworm | 2007-02-25 12:39

「マクレガーの花婿たち」

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ノーラ・ロバーツ著、平江まゆみ訳
「マクレガーの花婿たち」
ハーレクイン (2000/11)
ISBN-13: 978-4596005830


なんとアレです、ハーレ○イーンというやつです。今まで一回も読んだことがないと友人に言ったら、彼女が譲ってくれた本。
いやあ警告(?)通り、面白かった。腹の皮がよじれるかと思ったよ。や、むしろ必要なのはラナケイン。>私信

今まで私が勝手に持っていたハー○クイーンのイメージは。

1.大金持ちの美男美女が熱烈な恋に落ちる
2.大金持ちの美男が庶民の美女と恋に落ちる
3.大金持ちの美男が庶民の平凡な女の子に求愛し、えー私なんかどうしてと言いながら恋に落ちる

とにもかくにも熱烈なロマンスと情熱のバラがバックに百万本君の瞳は世界中の宝石よりも美しい二人の間にあるものはただ灼熱の炎だけ、ってうわあ止まらねえ!(爆笑)(痒スギル)
で、初めて本としてこれを読んで、私の偏見は偏見ではなかったと確信するに至りました。これを独断と言います。

さて著者のノーラ・ロバーツ、随分とハーレク○ーンというかロマンス小説業界では有名な方らしい。中でもこのマクレガーシリーズは人気が高いらしい。
マクレガー家の当主であるダニエル・ダンカン・マクレガーという、大層元気でチャーミングな悪党おじいちゃんは、実は子供や孫のお相手探しが命。この本では、自分の孫息子3人に、それぞれにふさわしく情熱的で気骨ある女性を見つけ、出会うように仕向けては、やきもきしながら成り行きを見守る&口出しもする。
孫息子達もさすがおじいちゃんの血筋だけあって、各々自尊心も高く、祖父の言いなりにはならないと固く決心してはいるものの、いつの間にやらおじいちゃんの思惑通りに恋に落ちていく。
そして最後は、孫息子とその相手の結婚式を、鼻高々のご満悦状態で眺めるおじいちゃんの姿で締めくくられる。

なんというかこれはもう、このダニエルおじいちゃん=ザ・マクレガーの一人勝ち。こんな人がそばにいたら迷惑至極だろうが、同時に愛すべき毒舌の単純なおじいちゃん、彼の魅力の成すところが非常に大きい。必死になって抵抗する、もう十分大人で自立した孫息子達も、彼にかかれば所詮孫は孫。まーたでたよおじいちゃんの道楽、と高みからニヤニヤ笑いつつ遊んでやっているつもりが、すっかり相手の女性に本気も本気でマイってしまう。
このおじいちゃんとのやりとりと恋愛の過程がもう、これはギャグかそれとも何かのパロディかと思うほど。大真面目にハーレファンの方には誠に申し訳ない。

しかし一世を風靡した○ーレクイーン。立派に小説界の一分野として存在する、ロマンス小説なるものの人気の理由は一体何か。うら若き乙女に聞いてみればわかるのか。(この時点ですでにオノレは除外)
恋愛小説というものは、幸せに両思いになったとか結婚とかのゴールに一旦辿り着いてハッピーエンドで終わるけど、実はそれは人生の一通過点。その後の現実がハピリーエバーアフターとは限らず、むしろそれからの方が人生は長くて、しかも辛いかもしれん。
いやそんなことはないはずだと信じている女性が、いつか私もという夢を託して読むものか。それとも非現実と知りつつ、小説の中だからこそ味わえる娯楽として読むものか。

どんな小説もドラマも映画も、全て自らの現実を一瞬離れて味わう甘いチョコレートのようなものだから。二次元ジャンルで夢を見るのも、十分においしい回復剤。
別な世界へ向かっての離陸と飛行と着陸と。舵取りさえ揺らがなければそれでいいと思うのだ。
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  by wordworm | 2006-02-06 12:28

「不思議の国の昆虫図鑑」

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伊藤博幸著
「不思議の国の昆虫図鑑」
凱風社 (1993/11)
ISBN-13: 978-4773618013


カラフルな虫のイラストが可愛らしくユーモラスだが、実は相当鋭い観察眼を通して語られており、人間に対する痛烈な皮肉がこもった内容。

オオイソガシムシ、アヒルグチゲラゲラ、ハズレヒトノミチオシエ。このような虫の名前を聞いて、一体どんな虫なのか即わかる人はまずいないだろう。
が、解説を読むと、膝をポンと叩いて納得する。時には机をバンバン叩いて賛同する。
あらゆる空間に生息し、数限りなく目撃されながらも、決して写真も標本もとることはかなわない、「ゆらぎ」としての存在である虫達。実は頻繁に会う知り合いの中に、ふっと目撃することさえ。

著者の友人であるという人から借りた貴重な本。現在闘病中であられるという著者の、一日でも早い回復を祈りたい。
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  by wordworm | 2005-06-27 06:55

「ゼンダ城の虜」

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アンソニー・ホープ著、井上勇訳
「ゼンダ城の虜」
東京創元社 (1970/02)
ISBN-13: 978-4488505011


これまた高校の頃、父の本棚から失敬して読んだところ、大のお気に入りとなった本。
もう実家に本の有無を問い合わせるのは虚しいと認識したので、自分で古本屋サイトで見つけたもの。復刻版が出ているのだが、私には旧版が深く刷り込み済なので。
ちなみに↑のデータは、復刻版の方です。

これはルリタニアという架空の王国を舞台に繰り広げられる、恋と冒険と騎士道の物語。正編と続編の二編構成となっている。

改めて読むのは、おそらく十数年ぶり。あの頃読み違えて勝手に思い込んでいた箇所を発見して、早読みの悪癖は昔からかと苦笑する。
一時期大好きだったんだよなあ、中世とか世紀末とか、剣と甲冑とか、涙と血の誓いとか、美姫の前に跪いて手に接吻とか(とまらねえ)
「怪傑ゾロ」や「黒いチューリップ」などと並んで、特にお気に入りだったのがこの本。
王と瓜二つだった為に、囚われた王の身代わりとなって敵とわたりあう英国の青年。そして王妃との秘められた恋。年頃の女の子がはまりやすい設定だったんだねえ。(生温かく微笑みながら)

この本で忘れられないのがラストシーン。ラストのセリフが印象的な映画や小説は幾つもあるけれど、私の中ではこれもその一つ。19世紀末に書かれた本でありながら、今日読み返してもそのシーンには目が潤む。

映画化もされているが、残念ながらまだ鑑賞するチャンスには出会えていない。
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  by wordworm | 2005-01-29 10:56

「トマシーナ」

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ポール・ギャリコ著、山田蘭訳
「トマシーナ」
東京創元社 (2004/5/25)
ISBN-13: 978-4488560010


ギャリコは、子供の頃に読んだハリスおばさんシリーズが大好きなわりに、他の本は1冊しか読んだことがなかった。
でもこの前TVで「3回生まれ変わったトマシーナ」という古い映画がやっていて、それを見る前に原作を読みたくて入手したもの。
大人の為の、とても良質な童話であり小説。父の葛藤と子供の主張と猫のプライドが、ラストに一気に一点に向かって進んでいく力がすごかった。
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  by wordworm | 2004-08-03 07:50

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