読書記録:2013年9月

レスリー・メイヤー 「九十歳の誕生パーティ」
主婦探偵ルーシーのシリーズ、第9弾。
もう読まなくていいかな、と思いつつ、読んでみると、コージーとしてはそれなりにしっかりした筋立てになっているので、ついついまた次も買ってしまうんだな。
私の好きな脇役キャラのミス・ティリーが大変なことになる今作。今までで一番犯人がわかりやすかったというか、これミステリー?というぐらいに単純で腰砕け。
むしろ、ミス・ティリーがどうなるか、というドラマ的な方が重点だったのか?
それでも、それなりに楽しく読ませるのはさすが。

リース・ボウエン 「貧乏お嬢さま、メイドになる」
大好きな、ちょっと昔のロンドンを舞台にしたミステリー。
英国王族でありながら貧乏なジョージーの奮闘記でもあるが、彼女の世慣れなさと、逆に妙に世間を知っているところが面白い。
大変なのに、決してめげない。投げ出さないノブレス・オブリージュ。こういうのを読むたび、好きだなあ英国、としみじみしちゃったり。
タイトルの「メイド」シーンがあまりなかったが、新しいコージーとして、ぜひ次作以降も翻訳してほしい。

カーリン・イェルハルドセン 「お菓子の家」
またまたスウェーデンミステリー。ショーベリ警視シリーズの初翻訳。
緻密に仕立てられた筋立て、入り組む登場人物で、読み応え十分。最後でやられ、最後の最後でまたやられる、という仕掛け。
子供の凄惨ないじめが多数出てきて、そういう部分は相当辛かった上、ラストもハッピーとは程遠い。
のだけど、良いミステリーに会った、という充実感は大したもの。

フィリップ・カー 「偽りの街」
最近なぜか「ハードボイルドを読みたい」気分に駆られて、古い本を読み返したり、ちらほらと買ってみたり。
その中の1冊のこちらは、ナチ党独裁時のベルリンが舞台で、ユダヤ人への迫害ぶりや戦時中の重苦しい空気に眉をしかめっぱなしなのだけど、さすがにファンが多い作品だけあって、期待したハードボイルドのラインを楽々越えてくれた。
……んだけど私に限っては、最後の方のレ○プシーンで全て台無し。これがあっただけで、大抵の作品は再読できなくなるどころか、本を見るのも辛くなってしまうんだな……(ということで、お蔵入り)

畠中恵 「アイスクリン強し」
畠中さんの本もご無沙汰してるよなあ、と思って、ついつい買ってしまった「若様組」シリーズ。
明治になったばかりの江戸ならぬ東京で、処遇に困って警官になった華族の若様達&洋菓子店を開いた真次郎達の活躍ぶり。
ほのぼのシリーズで、重い人間ドラマなどは一切ないのだけど、文明開化の混乱振りや、育ちの良い若者達の逞しさが楽しい。
何より、ビスキットやアイスクリン、チヨコレイトなどの西洋菓子が美味しそうったら。スイーツブームの原点ここに在り、でヨダレモノ。

メグ・ガーディナー 「メモリー・コレクター」
心理検死官ジョー・ベケットのシリーズ、第2弾。今度は記憶障害を起こす恐ろしい菌の感染騒ぎに挑む。
すごくアメリカらしいサスペンス、アメリカらしい主人公&キャラクター達。アクションあり、銃あり、カーチェイスありで、娯楽に徹しているのを素直に受け入れて、素直にきゃー・わー、と楽しめる。
ただ、菌の感染現場が飛行機内で、しかも感染したアテンダントが狂って、ドアを開けて機外に飛び出してしまうシーンがあるのだけど、これを読んだのが日本行きの飛行機内だった我が身の不幸ぶりが……



総領冬実 「チェーザレ」 1~10巻
塩野七生 「ルネサンスの女たち」
「わが友マキアヴェッリ」
番外編的になるけれど、友人から借りた「チェーザレ」が面白いのなんのって。ルネサンスあたりが大好物な私のハート、ど真ん中ストライク。(死語)
ついつい塩野さんの本も読み返しちゃったよ、という記録。
それにしても10巻出るのに10年かかってて、しかもまだチェーザレは学生のままですよ……取材にそれだけ時間をかけているということだそうで、またそれだけの出来になっているのは素晴らしいのだが。
これは一体いつ終わりになるのだろう。どうか「ガラスの仮面」化だけは避けてほしい。(切実)
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by wordworm | 2013-10-19 10:02