「逃げる悪女」

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ジェフ・アボット著、吉沢康子訳
「逃げる悪女」
早川書房 (2005/01)
ISBN-13: 978-4151745539


モーズリー判事シリーズ第3弾。
アルバイト感覚、アロハシャツ、ビーチサンダルというお気楽判事として登場したモーズリーだが、2作目でぐぐっとサスペンス色が強くなり、この3作目ではどかんとギャングとアクション満載。毎回別な単行本を読んでいる気になるぐらいで、1冊でも十分楽しめる。

さて、モーズリーの実の母親が昔蒸発したのは書かれていたが、今回はその母親を見つけ出すストーリー。父親が末期ガンを宣告され、最後に母親と和解させてやりたいと私立探偵に依頼するが、なんと母はギャングの幹部となっていた。
二代目ボスとうまが合わず、陰謀により組織から追われる羽目になっている母を助けようと、自身も組織抗争に巻き込まれていく。

冒頭から殺し有りというハードな始まり。それからも畳み掛けるように、組織内のゴタゴタや殺しやカーチェイスや殺しや脅迫や殺しの描写が続々と。
六人兄弟の末っ子という、一番のほほんと人生を過ごしてもよさそうな彼が、誰よりもトラブルメーカー。お馴染の親友グーチやクローディアも存分に活躍するが、彼らとの関係も、今作でまた新しい局面を迎えたようだ。

決まった恋人や深い繋がりの他人をほとんど持たないモーズリーの背景には、幼い頃に家族を捨てて出て行った母の存在がある。父の為と言いながら、実は自分の過去と向き合って整理をつける為であるのは明白だ。
再会した母は、暖かい家族の絆を再び結べるような女性ではなかったが、十分に魅力的にうつる。行動力、決断力、そしてそれに自分を捧げることはできなかったけれど、息子達への確かな愛情も責任感も持ち合わせている。それ故、自分が家を去った理由も口にせず、同情も理解も求めようとしない。
それはしかし私の目には魅力的でも、モーズリーの傷を癒すに足るものではなかったようだ。

最後が走り気味になった感もあるが、それでもああいう形で断片的にでも経過がうかがえたのが嬉しい。さて、次作はどんなテーマになるのやら。
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  by wordworm | 2006-02-02 12:31

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