「魔の都の二剣士」「死神と二剣士」

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フリッツ・ライバー著、浅倉久志訳
「魔の都の二剣士」
「死神と二剣士」
東京創元社; 定訳版版


ファファード&グレイ・マウザーシリーズを読む。全5巻のうち、1巻と2巻。
ライバーの作品は「妻という名の魔女たち」しか知らなくて、てっきり現代のオカルトや魔術物を得意としているのだと思いこんでいたら、実はSFやファンタジーの方でこそ有名な方だった。
中でもファンが多いというこのシリーズ、以前に3巻まで発刊されたが、その後絶版になっていた。が、新訳により全巻発売となり、ライバーの名に惹かれた私も手にとってみた。

書かれ始めたのが1930年代。ライバー独得の暗さもあって、アクションシーンが多いヒーロー物でありながら、ムードはいつもどこか皮肉めいて複雑だ。
ファファードとグレイ・マウザーという2人の剣士が出会い、意気投合して一緒の旅が始まるのだが、各々の生い立ちがまた重厚で黒い魔術に満ちたものであり、そんな2人が向かう先も更なる暗闇だらけ。それぞれの最愛の恋人を同時に失ったという影を常に背負いつつ、力と機転でもって冒険と危機を乗り越えていく。

中世頃のような舞台背景が非常に丁寧に表現されていて、それが物語に厚みを加え、頻繁に出てくる魔術に現実感を与えている。
ファンタジーはついつい息抜き的に読みたくなってしまうのだけど、これはむしろ腰を据えて読んで入り込むようにしないと、やや古臭い語り口も手伝って、ただ退屈なまま終わってしまう。そうして没頭して読み終えた後に、自分が今いる場所が一瞬分からなくなるのは、良くできたファンタジーの証明だ。
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  by wordworm | 2006-01-11 07:49

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