「養老先生と遊ぶ」

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「養老先生と遊ぶ」
新潮社 (2005/3/30)
ISBN-13: 978-4107901415


”養老孟司まるごと一冊”との副題通り、氏のインタビューや対談、過去に発表された文などを集めてある。
先生の人気をあてこんだ企画本だなーと呆れたが、しっかりその思惑にのっているファンがここにも一人。(俯きながら)

しかしこれは面白かった。私は先生が書かれたもの以上に、先生自身のコメントや発言が更に好きなのだけど、そんな先生の肩の力を抜いたところまで垣間見ることができる。
学者ではなく実は虫屋であると言われるほど虫好きな先生。高橋留美子のマンガが大好きな先生。安楽死について語り合う先生。
中でも、池袋のジュンク堂書店で半年間行われた「養老孟司書店」という企画。先生のオススメ本を並べただけでなく、先生自身が店長までされたのだけど、その写真の嬉しそうな笑顔。活字中毒を自認される先生のオススメ本リストは、学術書からマンガに至るまで、なんと500冊以上というボリュームだ。

東大を退官されたのが1995年、57歳の時。辞められてから10年過ぎて、やりたいことが次から次へと尽きないご様子には、頭が下がるというより、本当に好きなことを好きなようにやっている純粋な喜びがひたすら感じられる。
人間の致死率は100%、死ぬのは当たり前。だからこそ問題は自分の死ではなく、周囲の人の死をどう受けとめて生かしていくかということ。解剖学者として、より人の死に身近に立たれていた先生が辿りついた哲学がある。

何度も咀嚼したい箇所が満載で、考えたいところも色々ありすぎて。
二回読み返して、三回目に最初に読み直した先生の文、「他人の心を理解すること」。

「個人に限られた心なんて、ほとんど意味がない。感情も理屈も、他人に理解されてはじめて意味を持つ。心は個人のものだと思い込むと、他人を理解しなくても平気になる。
我々に今必要なのは、思うようにしたい心を抑えること、他人の心を理解すること。それ以外になにが必要か」

果たしていつ全てを消化しきれるか、先の長い楽しみを味わいつつ、またこれからも読み返す。
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  by wordworm | 2005-11-17 01:56

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