「九段坂から」

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岩城宏之著
「九段坂から」
朝日新聞社 (2003/05)
ISBN-13: 978-4022614209


国指定の難病の一つ、頚椎後縦靭帯骨化症に20年来悩まされていた氏が、病気の経過及び手術・入院の様子を中心に語ったエッセイ。

この小難しい病気はなんぞや? それは、頚骨の中の靭帯に骨ができて脊髄を圧迫する為、身体に麻痺がおこり、萎縮していく。もし転んだりすると、圧迫されて細くなった神経が切れて、半身不随になることもあるという、大層オソロシイ病気である。
指揮者とは、なかなかな重労働な職業だ。何時間にもわたって何万回も指揮棒を振り続ける。ボディランゲージ商売なので、大げさなアクションも入る。徐々に襲ってくる末端からの麻痺を、氏は最初は職業病と思っていたりする。

岩城さんらしい軽快でリズムの良い文章で綴られていくので、悲壮感があまりないのだが、実は感じておられた恐怖感は並大抵のものではなかったと推察する。
自分の手足が段々言うことをきかなくなってくる、しかも加齢によるものではなく。医者に見せてもわからない。鍼やカイロでも効果がない。そんな、徐々に自分を侵していく恐ろしいものと戦いつつ、ハイペースで世界各国を飛び回って指揮を続けていく氏の精神力。圧倒されるの一言だ。

担当医を信頼し、前向きにリハビリに取り組まれる様子、自分の過去の病歴、担当医との談話なども含まれた、厳しいはずなのに温かい一冊となっている。
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  by wordworm | 2005-09-20 13:41

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