「呪文の織り手」

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ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著、三辺律子訳
「呪文の織り手」
東京創元社 (2004/11/25)
ISBN-13: 978-4488572082


デイルマーク王国史シリーズ第3巻。1・2巻は同時代設定だったが、これはいきなり古代に飛ぶ。

それぞれの家に<不死なるもの>を表す像を置き、守り神としてた時代。デイルマークという名はまだなく、<川の国>と呼ばれていた頃。小さな村に住んでいた兄弟たちが、戦争をきっかけに村を追われることになる。
彼らが旅をする<川>を舞台に、出会う人々は果たして敵であるのか、味方であるのか、それとも人間ですらないものか。そんな数々の出来事が、次女タナクィが織る織物に文字として現れ、彼女は同時に語り手にもなる。

前巻まででも頻繁に出てきた<不死なるもの>。
イコール神ではないというが、確かに大きな力を持ち、そしてよほどのことがない限り死なない者たち、という姿がさらに明確になる。そして完全に相反する存在、魔術師カンクリーディンが、敵としてようやくその輪郭を同様に明らかにする。
物語の中で、<不死なるもの>の忍耐と諦観と期待がうかがえる箇所がある。人間に直接答えを与えることはできない、助言も不可、しかし彼らが気づいて変わろうとするのを膨大な忍耐力でもって願いながら待つ。気も遠くなるような一連のことを耐えうるのも、無限に近い時間を持つからか。そんな彼ら自身、人と共に生きる時間を持ちうるのも、この時代=魔法が日常である日々だからこそ。
この巻で出てくる登場人物達が、デイルマークという国の基礎を作ったことが最後で謳われている。
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  by wordworm | 2005-09-15 12:54

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