「聖なる島々へ」

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ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著、田村美佐子訳
「聖なる島々へ」
東京創元社 (2004/10/22)
ISBN-13: 978-4488572075


デイルマーク王国史シリーズ、2巻から完結編の4巻まで読み終える。
ということでまずは2巻、今度は海辺の貧しい家に生まれた少年・ミットが主人公。1・2巻とも舞台設定が中世風で、その辺りの描写も面白い(トイレとか)。
しかし内容的には、1巻と比べて少々暗い。貧しさ故の悲しみの数々は、どうしたってぬぐえないので。

搾取するばかりの領主に耐え切れず、とうとう反乱組織に加わり、殺人未遂まで犯したミットは、たまたま逃げ込んだ船で逃亡する。船に同じく乗り込んでいた姉弟の触れ合い、そして辿り着いた島での出来事が、彼と彼の運命を大きく変えることになる。

ジョーンズの書くものは、とにかく登場人物全員に存在感がある。単なる端役であっても、きっとその人物の一生の概略まで設定してあるのではないかと思われるぐらい。
そんな彼らが、ぎっしりと材料を敷きつめられたストーリーという土台の上で動くので、こんな読み応えのあるファンタジーにはなかなかお目にはかかれない、という物に仕上がっている。

かわいい・かっこいいだけの主人公ではなく、暗い背景とどろどろの自己嫌悪を背負いまくったミット。共に行動する貴族の姉弟との会話は、育ちの差が生む価値観の違いをとてもリアルに表現していて、実生活で味わうあれやこれやと重なってしまう。
沈みきったミットの前に、ふいに開かれた扉。それでも常に傷をまとう彼は、今度のデイルマーク史の中で、ますます重要な役割を演じていくことになる。
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  by wordworm | 2005-09-09 13:52

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