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「棒ふりの休日」

岩城宏之著
「棒ふりの休日」
文芸春秋 (1982/01)
ISBN-13: 978-4167271022


ずっと昔に母の本棚から手にとって読んだ岩城氏のエッセイの中で、一番印象に残っていた本。これまた父が罪滅ぼしの為か、ブック○フで見つけてきてくれたもの。105円なりの値札がついたままだった。

なんで一番覚えていたかというと、言い方は悪いが、一番下世話な話が多かったからと推測する。
「わがヰタ・セクスアリス」に始まって、CM出演の話とか、鼻のかみ方の日本と西欧の違いとか、検便についてとか、まだまだ青い頃に読んだ自分にとっては、一番わかりやすくとっつきやすかった話の数々だったからなのだろうな。高尚な話についていけないのはこの頃から変わらないまま。(威張るな)

中でも、「ぼくの自慢料理」という章が何よりで。
岩城氏にとってのおふくろの味・パカーン。この名前を聞いただけでどんな料理か当てられる人が果たしておられるか。こんな単純の極みのような料理で、NHKの「私の自慢料理」に出演なさった氏の度胸。それが好評で、さらに2回目の出演まで果たしちゃった太っ腹なNHK。呆れた口調ながらもこの一品が忘れがたかった自分も、相当なもんである。

セキララな話というのは、いつも時代も庶民の娯楽。それでいていやらしさを感じないのは、岩城氏の語り口調のおかげだな。

  by wordworm | 2005-04-23 07:45

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