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「スープ鍋につかった死体」

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キャサリン・ホール・ペイジ著、沢万里子訳
「スープ鍋につかった死体」
扶桑社 (2002/12)
ISBN-10: 4594037690


マンハッタンの有名な仕出屋から、エイルフォードの村の牧師夫人となったフェイス。料理もミステリーも楽しめるシリーズの第7弾。
といっても原作の順からいけば、4作目ぐらいに当たるのか?(調べなさい)

幼い息子が保育園に通うようになって、少しずつ自分の時間ができ始めたフェイス。そろそろ仕出屋の再開も考慮中。
そんな時に来た、伯母から一本の電話。近くの終身介護施設に住む友人から、不審な手紙を受け取ったという。伯母に請われて、ボランティアを装って潜入調査を開始したフェイスだが、ある日、彼女が作ったスープに頭を突っ込んで死んだ入居者が。

シェフやケータリング屋のミステリーは、もうこれで何シリーズぐらい出版されていることか。軽めのストーリーとレシピ付のありがたさで良く手に取るが、さすがに後発物には食傷気味。
このフェイスシリーズも随分前に数冊買ったきり、そのまま本棚で眠っていたのだけど、たまたま再読したら続きが気になって、足りなかった分を買い足した。

改めて読んでみると、そういったシリーズの中でも、筋立てがしっかりしていると再見直し。魅力的な脇役の数はそれほど多くないけれど、確かな手助けでフェイスを支えており、コージーミステリーとしての素養も満たす。
のめりこむほどの華々しい力は感じなくとも、十分最後まで飽きずに読み通させる力量。

今作では介護施設を運営するスタッフの中に入り込むが、所有者である医師家族の内部事情や、それに絡む金銭や愛情のごたごたもあり、大勢の人が集まるところで見られるあれこれがきちんと揃っているという印象。
だから逆に目新しさはないのだけど、それでもはっとさせられ、どきどきさせられるところが適度に散りばめられている。フェイスのおいしそうな料理が、また良いスパイス。

改めてシリーズを並べてみると、6作目だけ欠けていることに気づく。欲しい本リストに追加しよう。但し、第3次候補グループ、ぐらいだけど。

  by wordworm | 2007-03-18 12:41

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