「闇の守り人」

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上橋菜穂子著
「闇の守り人」
偕成社 (1999/01)
ISBN-10: 4035402109


女用心棒バルサのシリーズ、2作目。前作の「精霊の守り人」では、バルサ自身についてはあまり語られなかったが、今作では彼女が養い親の故郷に出向く。

バルサを連れて村から逃亡を図ったジグロ。故郷では悪名だけを残す彼のその行動は、実は親友の命をかけた頼みを受けてのことだった。ジグロの汚名をはらすべく、色々と探り始めるバルサだが、そこには王を始めとする、様々な陰謀が隠されていた。

児童書と思って侮るなかれ、これはひきこまれる一方のファンタジー。バルサという女性自身の魅力もそうだが、舞台設定も脇役も見事に創り上げられているので、文体こそやや児童向きだが、内容はファンタジー好きの大人でもはまらせるだけの力がある。

前作での主人公はチャグムという少年で、彼の成長ぶりも物語の要となっていたが、今作ではやはりカッサという少年が、物語において大事な役割を果たす。読者が感情移入しやすい登場人物をしっかりと据えた上で、バルサというシリーズ全体を通しての主役をもう一方の軸として、シリーズ全体を形作っているようだ。といっても、まだ2作しか読んでないんだけど(舌を出しながら)

大人で、一応生物学上の女である私としては、やはりバルサに魅かれるのであって。強くて逞しくて弱音は吐かず、見えないところで涙を流し、心のうちに秘めた思いもある。たまりませんがな。
しかしそんなバルサの優しさや強さを知ることができるのも、健気にがんばる少年少女がいてくれるから。彼らを支え、成長させてゆく、そばにつく大人としての役割。バルサ個人の悩みも目的も、子供を守る役目も、どちらが欠けてもここまで魅力的にはなりえない。

シリーズとして、あと4冊発刊済。と思ったら、昨年末からすでに更に3冊出ていたらしい。1巻目がようやく文庫化されたところみたい。
……どこまで待つべきか。ひたすら古本を待つか。
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  by wordworm | 2007-03-29 10:31

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